文藝同好会「食卓」のメンバーのてきとうな日記。
march
連休に入ったとたん、風邪をひいてしまった。僕はだいたいのところ、年に一、二回風邪をひくことが多いので、今年もまた来てしまったか、という感じで、もはや諦観するほかない状況である。例えるならば、いつもと変わらないように見えているギターの弦が、ある日突然ぷつん、と切れてしまうようなものである。・・・・・・周りに風邪っぴきが多かったのは、一つの予兆ではあったけれど。
幸か不幸か、連休である。
しかし幾度も経験していることとはいえ、風邪をひく、あるいは、身体が不調になるということは堪えるものである。何も考え付かなくなったり、はたまた普段は想像もできないような思索を試みたりする。そういう時、僕の頭の中には、往々にして一つの考え、あるいは疑いが浮かび上がる。この文章を読んでいる貴方の周りにも一人くらいいるのではないだろうか? 年中、永久凍土みたいに同じ形をしたままの精神を保つ人間が。
彼らは何時なんときも風邪をひいたりしないし、怒ったり、悲しんだりしない。ありとあらゆる状況に、持ち合わせた手足で柔軟に対応する。
彼らの心も、外には見えない形で変化をしているのだろうか? どこかに怒りや、悲しみを表現する術を持ち合わせているのだろうか? それとも、そういった感情すら存在していないのだろうか? 卓越した人間なのか、それともただの天然なのだろうか? そういった疑問は、自分の感情が上下すればするほど浮き彫りになってくる。
完成された人間になるということは、だいたいのところ、そのような人間を装えるようになるということなのかもしれない。
村上春樹のエッセイ(どの本かは失念した)、傷つかなくなることについても参照にされたし。
~ BGM:銀杏boyz なんとなく僕らは大人になるんだ ~
まーちです。
気づけば日記のサイクルも速いですね。相変わらず計画停電も続きそうです。これらの震災と事故が後々にどのような影響を与えていくのか想像もつきません。
さて、最近読んだ小説で、特に面白かったのが『夜想曲集 夕暮れを巡る五つの物語』と『浮世の画家』です。
どちらも日系イギリス人であるカズオイシグロの作品です。
過去に『日の名残り』と『わたしを離さないで』を読んでいたのでその繋がりになります。
彼の作品の多くは価値観の移り変わりをテーマに掲げていて、たびたび主人公は過去信じていた多くのことが間違いとみなされ、あるいは変質してしまったことに直面します。
それをどう処理していくかはそれぞれの問題ですが・・・私たちもいつか『平成』として信じていた常識を捨てなければならないときがくるのかもしれない。果たしてその時私たちは・・・?
本についての考察は後々書きたいと思います。
閑話休題。
こういう日記みたいな文章を書くときにはいつも、上手い文章で伝えようとすればするほど、意図するものから離れていくということを痛感せずにはいられません。思っていることを口に、文章にするというのは骨が折れることだと思います。
舞い上がるほど嬉しいときの感情や、まるで海底で押しつぶされそうなほど弱気な感情も、自分の思い通りコントロールして記すことのできる人間が、この世にはかくも多いことが僕をめげさせます。食卓のリーダーです。日々鍛錬あるのみですね。